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バーチャルな彼①

ネットのチャットで知り合った人。


電話番号を聞いたのは、つい2日前のことだ。

「逢いたいな...」彼が言った。


「逢いたい...」私もそう言っていた。もう迷いはなかった。
私たちは逢う約束をして電話をおいた。

駅の改札で待ち合わせをした。バッグが目印。


...気付いてもらえるかな??


不安げにあたりを見回していると、大股でアタシにまっすぐに近付いてくる人...背が高く細身、ニコニコしてる。


「ミカちゃん、やっと逢えたね!!」


...この人が?今までネットで話してきた人なの??なんて優しそうな笑い方をする人なんだろう。
アタシはその場に立ち尽くし、目をパチクリさせていた。


「よろしくね!!雨ふりだしちゃったね。傘もってきてる??」
「あ、うん」
私たちは一緒に傘に入った。

折りたたみの傘は二人で入るには小さかったけど、二人の距離を縮めるきっかけになっていた。
時々体がふれるだけで、アタシの心臓は爆発してしまいそう。


「お腹すいたね。何が食べたい?」笑顔を向けてくる。
「なんでもいい」...笑顔でそう答えるのがやっとだった。

人に心を開いたことのないアタシは、それまで誰とも付き合ったことがなかった。
適当に友達はいたけど、身をゆだねたことは一度もない。


経験がないなんて...アタシは一生ひとりぼっちで自分を慰めていくしかないのかな...。そう思っていた。

二ヶ月の間、バーチャルだった世界が急に現実になって、とまどいながらもアタシの心は弾みっぱなしだった。


食事は今までのどんな時間よりも楽しくて、お酒の力も借りながら自然にうちとけていった。


10時を過ぎて、駅まで送ってくれることになった。


離れたくない...もう一人は嫌!!


そんな気持ちになっていた私は、ひどく酔ったふりをして歩きながら彼にしなだれかかったりした。


「大丈夫??タクシーで送るね」アタシの肩を抱きかかえながら彼が言った。

タクシーの中で肩を抱かれていると、今までの辛かったことが全部流されていくようでここちよく、

アタシは眠り込んでしまった。


二時間ほど眠ったのだろうか。目が覚めるとアタシは大きなベッドの上に寝かされていた。


体を起こすと、「気分はどう?飲みすぎちゃったね」と彼が心配そうに近付いてきた。


ミネラルウォーターを差し出すと「飲めば少し楽になるよ」と言ってアタシを支えながら飲ませてくれた。
「初めてなの...こんな風に人に優しくされるの」私はたまらなくなって彼の腕の中に倒れ込んだ。

アタシの体を抱き締めてくれた。もうとまらなかった。


まるで子供みたいに泣きじゃくりながら、「これからもミカの側にいてくれる?」そう聞いていた。


彼は答えるかわりにアタシにキスをした。


始めは優しくついばむような小鳥のようなキス...唇の周辺にキスの雨を降らせたかと思うと、
だんだん深いものにかわっていった。


「んっ...」思わず声が出てしまう。


「声かわいいね。唇も柔らかくて気持ちいいよ。」そう言うと舌を差し入れながらアタシの口の中を這い回った。
どんどん体が熱くなっていく...

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