調教日記④
「ふー」
「何?待っていてくれたの」
「そういうわけじゃないんですけど」
「買い物なんかは?」
「昨日のうちに済ませておきました。今日、どうなるかわからないと思ったんで」
客足もまばらになった商店街を抜けながら、藤谷は冴子が和むような話に終始した。
「じゃあ、わたしここなんで。失礼します」
冴子は笑みを残して路地に向かい、藤谷に背を向けた。
まだ7時過ぎだというのに人影はまばらだ。
藤谷は、冴子のあとをつけ、とおりから2軒目のワンルームマンションの2階の自室に入る冴子を見届けると、周囲を確認し、大胆にも部屋のチャイムを押した。
「はーい」
「どちら様ですか」
ドアの真裏から冴子の声が聞こえる。
「ああ、ごめん藤谷だけど」
「本部長さん?」
ドアが遠慮がちに開いた。
「何でしょうか」
さすがに警戒した様子だ。
ジャケットは脱いで、ブラウスにスカート姿だ。
「落し物、したでしょう?」
藤谷は駅の売店で買ったハンカチを見せた。
「え?」
「さっき別れ際に君の上着から落ちたよ」
「ええ?」
「たしかに君のだよ」
「そうですか?わたしのかなあ?」
「よく見て」
冴子は不覚にもドアチェーンをはずし、ハンカチを受け取って、見始めた。
藤谷は、両目で周囲を警戒し周囲に人がいないことを確信した。
「これ、やっぱりわたしのじゃないです。ここにシール貼ったままの新品だし」
「そうかあ、他人のものか。じゃあこれを君にプレゼントするよ!」
というが早いか、そのハンカチで冴子の口を左手でふさぎ、右手で冴子の後頭部を押さえつけ、部屋に
押し入った。
冴子は恐怖と驚きで目を見開いたまま、意外にも大きな声を出せないで、喘いでいる。
藤谷はあせる様子もなく、ドアにはさまった自分のかばんを器用に足できっかけて、ドアの中にいれた。
ドアはパタンと閉まった。
冴子は藤谷に両手で頭を吊るされたような格好になっていた。
手足をばたばたとさせて抵抗するが、日ごろから筋力を鍛えている藤谷には何の抵抗にもなってはいない。
むしろ藤谷は、冴子の首が折れてしまうのではと思い、吊り上げたままの状態で、ベッドに押し倒した。
そのまま、冴子の口を左手でふさぎ、枕に後頭部を押しつけた。
空いた右手の親指と、人差し指を冴子の首にまわした。
冴子は、とうとう抵抗することも、大声を上げることもなく、そのまま失神した。
藤谷は、ドアにかぎとチェーンをかけ、カーテンを閉め、電話線を抜いた。
そして医者の往診用かと思うようなバックを、失神した冴子の横たわるベッドの脇におき、上着を脱ぎ捨
てると、買ったばかりかと思われるコーヒーカップで、蛇口をひねり立て続けに3杯水を飲み、ネクタイをはずした。
藤谷はベッドの脇に腰掛け、苦痛の残る冴子の頬を手の甲でそっと撫で、その手を胸にあて、ブラウスごと乳房に爪を立て、乳房の先を軽く噛んだ。
左の口元をわずかにあげた藤谷は、笑っているようにも見えた。
鞄を開き、愛具どもを床に置き始めた。

